2010年10月7日ノーベル文学賞にバルガス・リョサ氏

ノーベル文学賞にペルーの作家 バルガス・リョサ氏 - 47NEWS(よんななニュース)
 

【ロンドン共同】スウェーデン・アカデミーは7日、2010年のノーベル文学賞を、ラテンアメリカ文学の代表的存在でペルー出身の作家、マリオ・バルガス・リョサ氏(74)に授与すると発表した。同アカデミーは授賞理由で「権力の構造」を明確に描き、「個人の抵抗、反抗や敗北を鋭く表現した」と称賛した。  

南米大陸出身者の同賞受賞は1982年のガルシア・マルケス氏(コロンビア)以来。  バルガス・リョサ氏は政治にも興味を示し、90年のペルー大統領選に出馬したが、決選投票でアルベルト・フジモリ氏に敗れた。93年にはスペイン国籍を取得。以後、欧州を中心に活動し、AP通信によると最近は米プリンストン大でも教壇に立っている。



「世界市民になった気分」 ノーベル賞のバルガス・リョサ氏

「世界市民になった気分」 ノーベル賞のバルガス・リョサ氏 - 47NEWS(よんななニュース)
 

【ニューヨーク共同】AP通信によると、今年のノーベル文学賞受賞が決まったペルー出身の作家マリオ・バルガス・リョサ氏は7日、滞在先の米ニューヨークで一部メディアと会見し「自分が世界市民になったような気がする」との感想を表明した。  同氏は自分自身が「一カ所に孤立せずに」活動してきたと述べた上で「文学は特定個所に深く根差していたとしても孤立してはならず、普遍的でなくてはならない」と語った。  

自分に対する授賞決定は、多様性と活気に富むラテンアメリカ文学全体への認知を意味するとの考えを示した。  

1990年のペルー大統領選出馬について、政治家になりたいと思ったわけではないが「公的な議論に参加するのは作家の義務でもあると考えたから」と説明した。


全体小説から多様なリアリティーへ 作品の翻訳者:西村英一郎氏(スペイン語文学

ノーベル文学賞のバルガス・リョサ氏 全体小説から多様なリアリティーへ (1/4ページ) - MSN産経ニュース
 

今年のノーベル文学賞受賞者にラテンアメリカ文学を代表するペルー出身の作家、マリオ・バルガス・リョサ氏(74)が選ばれた。彼の著作『密林の語り部』『継母礼讃』『官能の夢 ドン・リゴベルトの手帖』などの翻訳を手がけている国際武道大学教授の西村英一郎氏(スペイン語文学)に、その文学世界について解説してもらった。  

ラテンアメリカでは、ガブリエル・ガルシア・マルケスが1982年にノーベル文学賞を受賞して以降、マリオ・バルガス・リョサは、同賞の有力候補と見られてきたが、その機会はなかなか訪れなかった。90年、同賞をとったのはラテンアメリカの知性、オクタビオ・パスであった。リョサの作家としての地位はすでに不動のものだが、ようやく今回、彼の文学が賞に輝いた。


木村栄一・神戸市外国語大学長(作品の翻訳家)が語るリョサの魅力

神戸新聞|文化|ノーベル文学賞 ペルー出身作家の魅力は?
 

2010年のノーベル文学賞に決まったペルー出身の作家、マリオ・バルガス・リョサ氏(74)。賞を授与するスウェーデン・アカデミーが「権力の構造を明確に描き、個人の抵抗、敗北を鋭く表現した」と称賛した氏の作品の魅力は、どのような点にあるのだろう。代表作の一つである長編小説「緑の家」などを邦訳し、スペイン語圏の現代文学が専門の木村栄一・神戸市外国語大学長に聞いた。

 
‐バルガス・リョサの作品の魅力とは。  

「何より、『現実』のとらえ方がうまい。『現実』は誰にとっても同じだと思われがちだが、多面的なもの。例えばペルー国内に存在する貧富の差、キリスト教的価値観、先住民を取り巻く環境などは、視点や立場の違いで善にも悪にも映る。こうした多面、多声的な状況を文学作品に昇華する手腕が光る」  


「さまざまな視点を列挙するだけではつまらないし、作品としてもまとまらない。バルガス・リョサは、複数の物語を交錯させ絡み合わせ、流れるように集約していく。あたかも支流が合流して大河となるように。『緑の家』(1966年)は砂の町の娼(しょう)家、密林の中の修道院、ゴムの密輸に携わる日本人など、五つの物語が織り込まれた壮大な交響曲だ」



 
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